コロナ禍で一年間オンライン授業を受けてみて【コロナと大学1】

大学生活

先日ようやく今年度の大学の授業が終了しました。

コロナ禍のこの一年間、ほぼ100%自宅でのオンライン授業となりました。
メディアでは貴重なキャンパスライフを奪われた大学生の悲痛な声が取り上げられがちですが、オンラインでしか得られないメリットもたくさんあったなというのが個人的な所感です。

この記事では、実際に体験して感じたオンライン授業のメリット・デメリットを筆者の視点から振り返るとともに、大学にはこうしてほしいみたいな要望も率直に書いてみたいと思います。要望というか愚痴というか。

それからもし僕が入学を控えた高校3年生だったらどんな情報が参考になるかなと、そんなことも考えながら書いてみます。参考になればと思います。

筆者について

筆者についての情報を参考までに載せておきます。

化学系学部学科の大学3年生、実家ぐらしです。首都圏の大学へ電車通学していました。
新型コロナの流行が拡大し始めてからは、アルバイトもせずに自室に籠もってオンライン授業を受ける日々を送っていました。

新型コロナ流行前は頻繁に電車に乗る毎日で、移動中は基本的に満員電車の中です。
また大学をはじめ部活動やアルバイト先など、全国的にみて感染者数が多い場所に活動拠点を置いていたため、コロナ禍での生活様式は大きく変えざるを得ませんでした。

この一年間ほとんど引きこもり状態で過ごしたわけですが、もともとインドア派の僕でもこれには堪えました。部活動は大学から活動停止を通告されていましたし、新しく始めたアルバイトは初出勤の直前にコロナのため一時自宅待機となり、未だに出勤できていません。計画していた長期旅行は断念せざるを得ませんでした。

もし僕が一人暮らしだったなら、アルバイトもしたでしょうし旅行にも自己責任で行っていたと思います。こんなことを経験したい、今度あそこへ行ってみたい、そうしたちょっとした気持ちを我慢する必要もなかったかと思いますが、まあ今考えても仕方のないことです。僕の生活環境を考えると自宅でじっと我慢するほかない要因があったのです。これについては別の機会に述べたいと思います。

オンライン授業の様子

メリット・デメリットの前に、オンライン授業がどんなものかについて簡単に触れておきます。あくまで僕が受けた授業の様子です。

オンデマンド型、同期型

オンライン授業はオンデマンド型と同期型の2つに大別できます。

オンデマンド型:授業の様子が録画された動画ファイルが課題管理のための専用サイトにアップされていきます。動画にはふつう閲覧期限が設けられており、学生は期限内であればいつでも、また何度でも視聴することができます。動画は教員が黒板に板書していくものもあれば、スライド形式で進むものなど、教員によって形態は様々です。

同期型:オンデマンド型の授業の生配信バージョンです。ZoomなどのWeb会議アプリを使用します。学生は毎週決まった時間に指定のURLへアクセスしなくてはなりません。授業中の発言(チャット)の可否や学生側のカメラのON・OFFは教員によって対応が分かれます。また僕が受けていた授業のひとつでは教授が生配信と同時に録画もされていて、回線トラブルで講義を受けられなかった学生にはその動画ファイルを配るなどの対策がとられていました。

こんな感じで、同期型はオンデマンド型よりも少し面倒です。一限に同期型の授業が入っている場合、寝坊しないように朝きちんと起きて(通学時間がない分8時過ぎに起きたって余裕ですが)回線に異常がないか確認するなどの準備をする必要があります。一方でその日の授業がすべてオンデマンド型の場合、前日の夜は徹夜でゲーム、夕方に起きて夕飯を食べながら授業動画を視聴して勉強…みたいなぐうたらも可能なわけです。参考に後で僕のスケジュールを紹介したいと思います。

出席確認、課題、試験まですべてオンラインで

オンデマンド型にせよ同期型にせよ、毎回授業の終わりに課題(Wordでのレポートなど)が提示されます。出席代わりのために用いる簡単な課題と、評点のために用いる重めの課題があります。提出期限について、前者は当日中、後者は2日〜1週間といった感じでした。いずれにせよ回線トラブルを考慮して期限は長めにとられていました。

コロナ前は最終評価のために筆記試験を課していた科目では、そのほとんどが代わりにレポート課題を出していました。そのため今年の夏休み、冬休みはあってないようなもので、多くの大学生が大量のレポート課題に追われていたと思います。レポート地獄です。

また一部の科目ではオンラインでの筆記試験が行われました。Zoomにアクセスし、表示される試験問題を解いていきます。学生はカメラをONにして解いている姿が教員に見えるようにします。回答はPCに直接打ち込むタイプもあれば事前にプリントアウトした解答用紙に書いてスマホで撮影、jpeg, pdfファイルを時間内に送信するタイプもありました。

試験だけは大学の教室での受験とする授業がいくつかありました。学生からしたら通学定期が切れてますしちょっと大変です。ほんとのところはわかりませんが、文科省による対面授業の割合が低い大学の公表が関係しているのではと思います。

はじめは色々と混乱も

このようにほとんどの科目では単位認定のための一連の工程がすべてオンラインで完結するようになっていました。その良し悪しについては後に述べますが、とにかく教える側と教わる側の双方で大きな環境の変化があったことは予想されるとおりです。当然、学生に限らず教員サイドでもはじめ多くの混乱が生じました

例えばZoomの挙動がおかしいとか、回線が安定しないとか、課題をどこにアップロードしたらいいかわからないとか、録画機材が壊れたから今日は休講にしますとか。また大学には課題管理のための専用サイトがあるのですが、どういうわけか一般教養の先生方にこの使い方がわからないという方が多かった。このサイトは対面授業ではあまり活用されるものではありませんでしたから、おそらく大学のシステムになれていなかったのだと思います。が、いくら外部の教員であってもそういう大事なことって共有されて然るべきですよね。たまたまその教員がうっかりされていたのでしょうか。きっと大学もてんやわんやだったのだと想像します。

僕の1日のスケジュールはだいたいこんな感じでした

オンライン授業になった大学生のリアルな一日を紹介します。
サンプルは5限まで授業が詰まった忙しめの日です。

基本的に怠惰なんですが、一応健全な過ごし方ができた日のスケジュールも紹介します。
見栄を張るわけではないです。

まずは健全な日がこちら。

1限と2限は同期型なので時間厳守ですが、自宅で受けられるため余裕です。本来なら6時過ぎには家を出て電車に乗るところですが、ゆっくり朝食をとっても時間が有り余ってます。

3〜5限はオンデマンドのため2時間ほどで片付くときもあります。どういうことかと言うと動画の早送りができるのです。僕は1.5〜2倍にして視聴してました。教員もシラバスの内容が含まれていれば十分ということで40分前後の動画がほとんどですから、倍速で視聴して課題を解き、わからない所があればノートを見返したり動画の該当箇所を見返したりします。受講時間は30分ほどになります。
かといって理解が疎かになることはなく、受講時間が短くなった分、理解が浅い点を重点的に学習できますしその場で教科書やネットを参照できますから、スマホで調べることもできず眠気と戦いながら受ける対面授業よりも諸々効率が良いです。

夕方には授業も課題も片付いて、後は夕飯食べて風呂入って寝るだけ。0時前に寝る生活は久しぶりでした。学校を終えたらサークルへ顔を出してすぐアルバイトへ、電車を乗り継いで帰る頃には0時を回っているような生活でしたから、はじめはなんだか大学が始まった気しませんでした。

 

それではだらしない方のスケジュールを見てみましょう。

我ながらひどいとは思います。
でも大学生ってこんなもんだ。

1〜5限が3時間で終わるってんなわけねーだろがと思うかもしれませんが、可能です。
そう、オンデマンドならね。
理由は先も述べたとおり倍速で視聴するためです。

自由時間になにしてんの?という話ですが、例えば読書したり、アマプラ見たり、楽器いじったり、ブログ書いたり、散歩したりです。理由についてはここでは話しませんがアルバイトをしていなかったため、本当に時間がありました。自粛生活で我慢することも多い分、おかげでいくつか新しいことにチャレンジする機会を得ました。このブログもそのひとつです。

オンライン授業でのメリット・デメリット

ここから僕が実際に体験して感じたオンライン授業のメリット・デメリットを思いつくまま挙げてみたいと思います。

メリット

自分のペースで、集中して授業が受けられる

ほとんどの授業がオンデマンド型だったため、例えば今朝は体調が優れないから学習は昼過ぎに回そう、昼食の後は眠くなるため仮眠してから受講しよう、といったことが可能でした。

また大学生とはいえ、授業中にも関わらず友人同士のおしゃべりが止められない人が一定数いるものです。オンライン授業では静かな自室で受講できるため集中して取り組むことができました。

空間の制約がない

自宅から大学まではもちろんそうですが、大学のキャンパス内での移動が結構大変です。場所が離れている場合、授業が終わると同時に次の教室へ全力ダッシュが基本です。
昼休みには食堂がすぐに満席になるため、温かい定食を食べたい場合はいち早く食堂へ走って席を確保しなければなりません。失敗すればコンビニで買ったパンやおにぎりを教室の隅で食べることになります。

また一般教養の授業では履修者数に対して教員が予約した教室が小さいことがたまにあり、その場合座席確保のため授業の前後に椅子や机の移動をしなくてはならず、手伝わされる学生は手間ですし大きな時間のロスになっていました。

オンライン授業ではこうした空間的な制約がないため余裕を持って学習に取り組むことができました。昼食は温かいものをゆっくり食べられましたし、食後に走って脇腹が痛くなるようなこともありませんでした。

荷物の制約がない

大学で使う教科書ってバックパックに入れて歩くにはかさばるし重いんですよ。電車の中では気をつけないとそんな顔しなくてもいいじゃんって顔で厭われます。それでも入学当初は律儀に全部持ち歩いてました。嫌な顔をされても俺は学徒なのだと。ふくれあがった荷物を背負いながら堂々としてました。でも流石に重すぎて肩の皮がめくれたのを堺にやめました。

オンライン授業では必要な教科書が手元に揃った状態で受講できるため、運ぶ必要もなければ机の上に広げすぎて隣の席の人に迷惑をかけるようなこともなくなりました。

復習しやすい

先にも述べた通り、オンデマンド型の授業は閲覧期限の間なら何度でも試聴することができます。一度視聴してよくわからなかった場合は、繰り返し視聴することで理解の浅い点を潰していくことができました。

教員からのフィードバックが多い

教員としてもオンライン授業ははじめての試みですから、授業についての学生からの意見を募りたいという気持ちがあったはずです。ほとんどの科目が質問や意見の記入欄をサイトや課題に設けていました。

学生は「板書が見づらいです」とか「追加資料はPDFにしてサイトに添付してほしい」とかいろいろ書くのですが、翌週の授業でそうした要望の多くが反映されているようでした。教員も試行錯誤していることが感じられました。

質問しやすい

上に述べたような質問の記入欄が設けられたことで、以前に比べて質問しやすくなりました。教授や助教だけでなくTAも回答してくれます。疑問に思ったことは気軽に記入して、リプライを見ても解消できなければさらに質問して…といったことができました。

ちなみに対面授業をやっていた頃は、授業でわからなかったところはネットで調べるか友人に聞いていました。それでもわからない場合は放置してました。「まず教授に訊けよ」というのはごもっともですが、教授って基本的に怖いし。後でメールするのもめんどくさいし。忙しかったら悪いし…。学生のあり方としてはよろしくないと思います、でもみんなそんな感じじゃないの??べべべ別に正当化するつもりはないけどさ。

追加資料が豊富

例えばmRNAのスプライシングがどのように進行するか、みたいなミクロな話は、文章よりも図やアニメーションで説明されたほうが何倍もわかりやすいですよね。オンデマンド型の授業では、教員が動画を編集して図やアニメーションを挿入するなどの工夫をしてくれていました。
Youtubeのこの動画がわかりやすいよ、このサイトのこの解説が詳しいよといった話をURLとともに紹介してくれるため、熱心な学生はそうした追加資料から具体的な理解が得られます。

対面授業のときにもプロジェクターを用いて動画を紹介してくれる教員はいましたが、だいたいプロジェクターが起動しないとか、音声が再生しないとか、巻き上げ式のスクリーンが降りてこないとか、日が差して見えないとか、…学習の助けになった試しは残念ながらあまりありませんでした。オンラインではそうした不具合がないため、教員と学生の双方にとってストレスがありませんでした。

通学時間ゼロ

僕にとって一番のメリットが通学時間がなくなったことでした。
自宅から首都圏の大学へ電車通学していたといいましたが、コロナ前はおよそ2時間かけて通っていました。うち1時間半は電車の中です。言うまでもなくこれって結構きついです。

通勤ラッシュの時間帯に電車を利用することがほとんどでした。満員電車の中では本はもちろんスマホすら開けないこともあります。乗り換えが複数回あるため気を張っていないといけません。「読書したりニュースチェックしたり、電車通学も時間の使い方次第では有意義だよね!」みたいな言説は満員電車では通用しません。限られた空間の中おっさんの鼻息を避けるように体を捻り、痴漢冤罪を恐れて腕を首にかけたりしているうちに自然とジョジョ立ちが完成されます。その状態で大きく揺れる箱の中Ⅰ時間半も耐えるんですからちょっとした拷問です。

まあとにかく、オンライン授業によってこうした通学の必要がなくなったことで心身のストレスが大きく軽減されたという話です。

睡眠時間、好きなことに使える時間が増える

通学時間ゼロ、移動時間ゼロに伴って自由にできる時間が増えました。僕の場合一日あたり4時間ですから、一日ってこんなに長かったっけ?一週間ってこんなに長かったっけ?と当初は感じたものです。

おかげでまず睡眠時間が増えました。このブログを始めるきっかけになりました。かねてからチャレンジしてみたかったプログラミングにも本格的に取り組めるようになりました。その他諸々、好きな事に取り組む時間ができたことで人生の密度が高まったと感じています。ちょっと大げさでしょうか。少なくとも移動に多くの時間を費やしていたあの頃よりは毎日が充実しています。

デメリット

回線、機材の準備が大変

オンライン授業の受講のためにはWiFiとPCが最低限必要ですが、今や誰でも持っているものでしょう。持っていなくとも大学ではそうした学生向けにサポート体制を整えています。各通信事業者ではオンライン授業に伴い学生の通信容量を無制限にするなどのサービスを展開していました(現在もやっているかはわからない)。

僕もWiFi、PCともに揃っていたためZoomなどのアプリをインストールするだけで学習環境を整えられましたが、個人的に苦労したのが自宅の回線の準備です。
どういうわけか回線がいつまでも安定せず、同期型の授業の途中でZoomのルームから締め出されたり、課題がいつまでもアップロードできず未提出扱いになったりとかなりのストレスでした。

課題が多い

大学の教室に集まっての試験が実施できないため、代わりにレポート課題が多く課されました。
「筆記試験ないから楽でよかったね」とかたまに言われるのですがそんなことはなく、レポート課題のほうが労力が大きいです。授業内容よりも発展的な内容を書くように求められますから、授業の復習に加えて調べ学習の必要があります。

ほとんどの科目で期末試験としてレポート課題が出されるため、夏休みも冬休みもひたすらレポートを書く毎日でした。迂闊に外出するわけにも行かず、自室で黙々と作業するのはただただ苦行でした。勉強にはなりましたが。

試験での不正について

カメラをONにして受けるタイプの筆記試験があったと述べましたが、自宅の回線が断続的に切れるせいで試験中にも関わらずたびたびZoomに入り直さなくてはいけないことがありました。問題は時間内に解けましたし提出もできましたが、おそらく不正が疑われたのだと思います。後日教員から連絡があり、僕の映像がたびたび切れたり停止したりしていたことについて説明を求められました。説明のかいあって無事単位は取れましたが、場合によっては試験の不正に伴ってより重い罰則が科せられた可能性もありました。

ここで思ったのは、オンラインでの筆記試験では不正を取り締まることは不可能だということです。
学生側のPCにはカメラは一つしかありません。学生に試験中に顔を写すように指示したところで、手元のスマホで検索したり友人と答え合わせをしていたとしてもわかりません。また手元を写すように指示したところで、PCの後方にカンニングペーパーを用意していたとしてもわかりません。また僕が疑われたように、回線が断続的に切れるように工作して不正を働くことも考えられなくはないでしょう。
実際、たまたま受講している科目が同じだった後輩から試験中に答えを教えてほしいとのLINEがとんできたりもしました。もし僕が答えを教えてしまっていたとしても、その後輩が告白しない限りバレることはなかったでしょう。

コロナ前の筆記試験では、数人による監視体制のもとで行っていたためカンニングなどの不正はほぼ不可能でした。しかしオンラインでははっきりいって不正し放題だと感じました。大学は今後もオンライン試験を行うなら、すべての科目で公正な試験の実施方法を検討・共有するべきです。教員はその学問においてはプロフェッショナルですが、この手のマネジメントに関しては素人です。試験の際のセキュリティまで個々の教員に一任している現状では、いずれ学生から不公平を訴える声が出てくると思います。

目が疲れる、首がこる、肩がこる

オンライン授業によってPCを見る時間がかなり増えました。レポート作成も基本的にPCで行います。目や首、肩などの身体的疲れにつながるのは必然です。

これだけ作業したらこれだけ休む、室内でできる軽い運動をする、ブルーライトメガネをかけるなどのちょっとした工夫がストレスを蓄積しないために大切だと感じました。僕は姿勢が悪くならないようにPCスタンドを購入しました。とてもよいです。

実験ができない

僕は化学系学科の人間ですから当然実験の授業があります。3年生の授業ではそれまで学習した知識を総動員して実験、レポートの作成まで行いますし、実験機器の扱い方を学べる唯一の機会です。ですからこの実験ができないというのは理系の学生にとっては致命的です。

僕の学部では、学生本人または同居人が新型コロナ感染によって重篤になり得るケースに限りオンラインでの履修が認められていました。僕の家庭がまさにこのケースにあたるため、泣く泣くオンラインでの受講を決めました

オンラインでの実験の授業とは、教員による実験のデモ動画を観て、自分が実験を行ったていでレポートを書くというものでした。もちろん実験機器の扱いを練習することはできません。オンラインで履修することで評価が下がることはありませんでしたし、無事単位もとれましたが、やはり実際に実験機器を扱って履修ができた学生とは技量の差が生じたはずです。この点は今後研究室へ配属されるにあたっての大きな不安要素です。

ついでに言えば、オンラインでの履修でも皆同じ授業料を払わなくてはならないことに若干の不公平を覚えます。実験では高価な試薬を扱いますしみんな手が滑ってガラス機器を粉砕したりするので授業料が結構します。でも俺試薬消費してないし。ガラスも割ってないし。ちょっとくらい安くならないのかと。

部活動などの交友の機会がない、孤独感が大きい

大学に入学したものの、オンライン授業のせいでキャンパスに入れず、友達も作れず、ただPCに向かって勉強する毎日。小中高校生は学校に通えているのに、どうして大学生の私だけ通えないのか…。そうした孤独感を訴えた漫画が大学新入生によってTwitterに投稿され、一時期話題を呼びましたね。

僕が所属しているサークルでは、今年度の新入生歓迎会をZoomで行いました。参加してくれた新入生は10人ほど。7月に差し掛かる頃だったと思います。「大学生活はどう?」とか「友達できた?」とか聞くとやはりほとんどが予想だにしなかったコロナ禍の大学生活に戸惑っていましたし、友達もSNSを通じてできた顔も知らない数人だけだと。顔を合わせての交友の機会は今回の歓迎会が初めてだとも言っていました。

残念ながら現在サークルに残ってくれているのはたったひとりです。彼らが今どんな大学生活を送っているのかはわかりませんが、きっと上の漫画を投稿した大学生と同じ心境だろうと想像します。

僕の場合は1,2年生のキャンパスライフで得た友人がいますから、自粛生活での不安だとかオンライン授業での不満、愚痴なんかもお互いに言い合うことができました。新入生にはそうした発散の場所がないのかと思うとただ気の毒としか言いようがありません。

 

現在大学入学を控えた方に伝えたいことを話します。
大学での学習、卒業までの道のりは基本的にチーム戦です。一匹狼では苦労するばかりで、友人と絶えず情報を交換しながらでないと重大なミスをするものです。高校までは担任の先生が諸々リードしてくれますが、大学ではすべて自己管理です。必修の授業を取り忘れても誰も指摘してくれませんし、そのせいで留年しても自己責任でしょと。そんなの必要書類の読み込みが甘い本人が悪いのだ、俺はそんなミスはしないから大丈夫、入学当初そう思っていた僕ですが、そのへんの大学のシステムって結構ややこしくて、友達に指摘されるまで卒業に関わる科目の履修ができていなかったことが一度ありました。

オンライン授業によって交友の機会がないことの問題は、孤独感だけでなくこうした実害を被るリスクが高まることです。オンライン授業を予定している大学への入学を控えている方には、何よりもまず友人を作るための準備をするように助言したいです。

具体的にはやはりSNSでしょうか。僕はあまり詳しくないのですが「○○大学 入学」とかで検索すると同級が見つかるみたいです。見つけ次第アプローチしましょう。SNSで友達作るってなんかやだなあ、なのはよくわかりますし僕もそうなんですが、友達がいるいないってかなり重要だぞ、というのが僕の大学生活3年間、特にコロナ禍でのこの1年間を通じて学んだことです。

オンライン授業になってよかった?

ここまでメリット・デメリットをつらつらと述べてきました。

読んでくださった方はもうお気づきかと思いますが、上に挙げたオンライン学習のデメリットのほとんどは、オンラインだから生じるものというよりも対面での授業、試験ができないために生じるものばかりです。
ですから単にオンラインでの学習形態がいいか悪いかという点においては、いいことしかなかったというのが率直な感想です。

僕の場合通学時間が長いことが心身のストレスになっていましたから、それが解消されたのは大きかった。
なにより学習の質が高まったということは特に強調しておきたい点です。僕は例年何かしら単位を落とすのですが、今年度は履修した全ての科目で単位が取れましたし、評定も例年に比べてかなり良かったです。友人の多くも同様に成績が上がったと喜んでいました。これは大学が学問を修めるところであるという点から見ても素晴らしいことです。

それでもやっぱり、キャンパスでの交友やサークル活動ができずほぼ自宅での1年となってしまったことに関しては、どうあっても人生の損失だったとしか捉えられません。この記事を書こうと思ったきっかけのひとつは、そのことを受け入れつつオンライン授業のメリットや恩恵を考えることでこの1年を前向きに捉えようというものでしたが、大学通いたかったなーという気持ちは今も捨てきれずにあります。今となっては是非もないことですが。

対面とオンラインのハイブリッドを

大学でのオンライン授業が始まって約一年になります。学生を始めとした多くの大学関係者は、対面授業ができないことによる不便と、オンライン授業の導入による利便とを知りました。そしてすでに声が上がっているとおり、対面とオンラインとを掛け合わせた授業展開が今後必要であるという意見に僕も大きく賛同します。

筆記試験や実験などは対面でしかできないことですが、その他の通常授業においてはオンラインにできるところ、またオンラインでしかできないことが沢山あるはずです。
メリットとして空間の制約がなくなったと述べましたが、オンライン授業は地方出身で都心への転居が難しい学生にも学習の機会を提供します。わざわざ家賃の高い大学周辺に寮を借りずとも、普段は郊外の安い住居でオンライン学習をし、試験や実習がある際は大学へーーといったことが可能でしょう。学習の質が高まるだけでなく、地理的な制約を超えて優秀な学生を集められるようになりますから、大学にとってもプラスです。

ワクチンの普及や集団免疫の獲得によってどれだけ感染が抑えられるのかわかりませんが、Withコロナの時は当面続きそうです。これに伴い大学では今後もオンラインでの学習環境が必要になると予想します。少なくともいきなり以前のような対面授業へ、またはいきなりフルリモートへ、といったことはないでしょう。ハイブリッドな学習環境の構築が求められます。

既存のシステムにうまくオンラインの要素を組み込みつつ、むしろこれまで以上の学習の質を、また学習の機会を提供できるように大学と関連機関には頑張ってほしいです。転んでもただでは起きないのだということを示してほしい。そしてそれは必ずできるというのが、実際にコロナ禍の1年間オンライン授業を受けてみた僕が信じるところです。

またそのためには大学関係者をはじめとした現場の状況を知る人間による議論が必要です。これに当事者である学生が加わるのは自然なことでしょう。自然というより必要だと思います。

大学生はかわいそう?

最後に愚痴のようになって悪いのですが、どうも巷の報道やSNSでは「キャンパスライフを奪われたかわいそうな大学生」ばかりが喧伝されているようです。いかにもメディアが好みそうな話題ですからさもありなんと思う反面、だからといって大学生が自ら「かわいそうな自分」を積極的に前面へ出していくのは見ていて情けないというか違うだろうと。

SNSの力学でしょうか、私はこんなかわいそうな状況にありますと嘆く人の周りには同様に嘆く人がわっと集まります。すると悲嘆の声が渦を巻いて大きくなるばかりです。聞いた人はまるで世界中がかわいそうな人だらけだという気になって渦へ取り込まれていきます。

もちろんこの大事で困窮した学生はたくさんいるでしょう。どうしようもない状況に慨嘆し、精神的に疲弊し、全部投げ出してしまいたくなるような気持ちはよくわかります。しかし自分の傷をなめる努力までやめてしまっては悪くなるばかりじゃないですか。僕が言いたいのは「みんな元気だそうよ」ということです。

こういうことを言うと必ず「当人にしかわからないことをとやかく言うな」といった声が出がちです。それも一理あると思います。大学に通えて、愚痴を吐ける同級もいる僕は恵まれた環境にあるといえます。ただ先も言ったように、嘆くだけでは社会がどんよりするばかりで進展がないと思うのです。

最近SNSを見るようになって思うのは、同調する人は多いのにどうして背中をピシッと叩くような励ましを言う人がいないのかということです。確かに落ち込んでいる人を励ますのは技術が要ることです。言葉によっては心ない人としてバッシングに遭うかもしれません。でもただ一言「それでも頑張ろうよ!」といってくれる人がいれば、もう少し空気が違ってくるのではと思うのです。そしてそれが言えるのは、多少の違いがあるとはいえ同じ状況にある大学生だと思います。

 

そうは言っても、僕自身そうした励ましの言葉をかけずに傍観してきた人間です。声をかけたいと思っても、言葉を間違えたらどうしよう、バッシングが怖い、真意を伝えられる自信がない、赤の他人に言ってどうするのか、…そうした考えばかりが浮かんできてしまってだめでした。だから代わりにここに書くことにしました。本人に言い放つのは怖くても、こうして目のつくところに書いておけば誰かの目に留まるかもしれないと。

ここまで語っておいてなんだよという感じですが、これで誰かしらの背中を押せないかしらと期待するまでが僕の限界です。

みんな、大変だろうけど頑張ろう!

まとめ

コロナ禍のこの1年間オンライン授業を受けてきて感じたメリット・デメリットを、実際の様子も交えてお話してきました。

オンライン授業の様子だとか、大学生による体験談について紹介するものはまだ少ないようです。今後更にオンラインでの学習が続きそうであることを考えると、大学入学を控えた高校生なんかは不安だよなあと、そういう思いもあってここまで書いていたら長くなってしまいました。

話そうと思っていたことがまだいくつかあるのですが、それらについては記事を分けて紹介することにします。長いので。とりあえずこの記事は【コロナと大学】シリーズのその1としておきます。シリーズと言っておきながら2か3で終わりそうですけどね!

僕のサイトの読者はまだまだ数えるくらいしかいないのですが、僕と同じような状況にあって悩んでいる大学生だとか、先も言ったように入学を控えた方の目に留まって共感するなり今後の参考にするなりしてもらえたら嬉しいです。

現役の大学生に色々訊ける機会がほしいと、僕が高校生の時は思ってました。具体的にこんなことが聞きてえんだけども!っていう方はTwitterでも下のコメント欄からでも気軽に質問してください。答えられる範囲でお答えします。

 

おわり

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