マスク不足に伴って布マスクを手作りする動きが広がっています。
感染拡大の当初は布マスクの効用について否定的な立場をとる医療関係者の声もありました。
しかし感染者が急増し医療現場でもマスクが不足している現在は、WHOをはじめ多くの関連機関が布マスクの活用を推奨しています。
先日の政府による布マスク全戸配布(およそ5850万世帯、1億3000万枚、マスクの確保と郵送に466億円)には批判の声も多く挙がりましたが、「国が薦めるなら」と布マスクの導入を決めた方も多いのではないでしょうか。
布マスクの作り方については多くのメディアで取り上げられていますが、その有効性や正しい使い方について説明しているところは意外とありません。
政府官邸や厚労省などの公的機関では言及はしていても簡略されていたり逆に専門性が高くわかりづらいものが多いのが現状です。
布マスクって普通に洗っていいの?…効果とか正しい使い方はきちんと知っておきたい
CDC(米疾病予防管理センター)のウェブサイトでは、新型コロナに関する情報がまとめられています。
残念ながら日本語には対応していませんが、布マスクの効用と正しい使い方についてもわかりやすくまとめられているため大変有益だと思います。
そこで今回はCDCがまとめた布マスクの効用と正しい使い方を翻訳、紹介します。
CDCについて
CDC:Centers for Disease Control and Prevention (米疾病予防管理センター)は、1946年に創設された、米保健福祉省が所管する健康保護機関です。
CDCは衛生統計センターや感染症センターなどの組織を持ち、それぞれが独立して活動しています。
疾病の調査・対策を講じる上で決定的な役割を担っており、独自に研究も行うCDCが提供する情報は信頼性が高いものとして認識されています。
研究資源、権威性ともに世界有数の機関であり、今度の新型コロナウイルスのようなパンデミック時には世界中がCDCの研究や支援活動に期待するわけです。
『Walking Dead』などパンデミック系のドラマや映画では人類最後の砦役として登場しがち。
布マスクは有効か?CDCの見解
結論から言えば、CDCは布マスクの着用を推奨しています。
ただ、ここで誤解してはいけないのが布マスクが感染の予防に特別優れているわけではないということ。
医療現場でもマスクが慢性的に不足している現在、
布マスクが普及する → マスクの需要が下がる → 医療従事者にマスクが供給される
という流れによって医療従事者に十分量のマスクが供給されるようになることが、布マスクが推奨される主な理由なのです。
以下、CDCの布マスクに関する記載を箇条書きで抜粋してみます。
- CDC recommends wearing cloth face coverings in public settings where other social distancing measures are difficult to maintain (e.g., grocery stores and pharmacies), especially in areas of significant community-based transmission.
- the use of simple cloth face coverings to slow the spread of the virus and help people who may have the virus and do not know it from transmitting it to others.
- Cloth face coverings fashioned from household items or made at home from common materials at low cost can be used as an additional, voluntary public health measure.
- Cloth face coverings should not be placed on young children under age 2, anyone who has trouble breathing, or is unconscious, incapacitated or otherwise unable to remove the mask without assistance.
- The cloth face coverings recommended are not surgical masks or N-95 respirators. Those are critical supplies that must continue to be reserved for healthcare workers and other medical first responders.
- A washing machine should suffice in properly washing a face covering.
- It is critical to emphasize that maintaining 6-feet social distancing remains important to slowing the spread of the virus.
- face coverings are not a substitute for social distancing.
- A cloth face covering is not intended to protect the wearer, but it may prevent the spread of virus from the wearer to others.
- CDCは、社会的距離を保つことが困難な公共の場(食料品店や薬局など)、特に感染者の流入がないにも関わらず感染が著しい地域では、布マスクを着用することを推奨している。
- 布マスクの使用はウイルスの拡散を遅らせるとともに自覚症状のない感染者が他者に感染させるのを防ぐ。
- 家庭用品や一般的な材料から作られた布マスクは追加の自主的な公衆衛生対策として使用することができる。
- 布マスクは、2歳未満の幼児、呼吸困難な人、意識不明の人、身体が不自由な人、または介助なしにマスクを外すことができない人には装着してはならない。
- 推奨される布マスクは、外科用マスクやN-95マスクではない。 これらは、医療従事者やその他の緊急対応者のために確保されなければならない重要な物資である。
- 布マスクを適切に洗浄するには洗濯機で足りる。
- ウイルスの拡散を防ぐためには、他者と6フィート(約2メートル)の距離を保つことが重要である。
- 布マスクをしていても他者との社会的距離は保たねばならない。
- 布マスクは着用者を保護することを目的としたものではないが、着用者から他の人へのウイルスの拡散を防ぐことができるかもしれない。
まとめ
布マスクの効果と使い方に関するCDCの主張をまとめると以下のようになります。
- 人の多いところでは布マスクをつけよう
- マスクが医療従事者に確保されるように布マスクを使おう
- 布マスクをつけることで自分への感染を防ぐことはできないが、自分から他者への感染は防ぐことができる
- 布マスクをつけている時でも人とは2メートル離れよう
- 使ったら洗濯機で洗おう
すでに多くのメディアが伝えている内容ではありますが、CDCのような権威ある機関が布マスクを推奨する意味は大きいと思います。
それだけ医療現場でマスクが足りておらず、状況はひっ迫しているということです。
ここまで布マスクに関する情報に注目してきましたが、
CDCは他にも新型コロナウイルスに関する有益な情報を発信しています。
家族が感染したらどうするか?感染予防と仕事との兼ね合いは?…など、
日常で役立つ情報が総合的に解説されています。
誰がいつ感染してもおかしくない状況ですから、一度目を通しておくと急な事態にも慌てずに済むと思います。
ぜひ一度確認してみてください!
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